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個別労働関係紛争の解決②

個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の概要

1.法律の趣旨
(1)企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争が増加していることにかんがみ、これらの紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の創設等により総合的な個別労働関係紛争解決制度の整備を図る。

(2)裁判所における民事訴訟、労働調停、都道府県労政主管事務所・地方労働委員会等における労働相談、あっせん、労使団体等における労働相談等からなる複線的な個別労働関係紛争解決システムの一環として、全国的なセイフティ・ネットとしての制度の創設を行うものである。

2.法律に基づく制度の概要
(1)対象となる紛争
イ.個別労働関係紛争:労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む)
ロ.具体的には、次のような紛争を含むすべての労働分野の個別の紛争が対象となる。
1)解雇・雇止め、配置転換・出向、昇進・昇格、労働条件に係る差別的取扱い、労働条件の不利益変更等の労働条件に関する紛争
2)セクシュアルハラスメント、いじめ等の就業環境に関する紛争
3)労働契約の承継、競業避止特約等の労働契約に関する紛争
4)募集・採用に関する差別的取扱いに関する紛争

(2)紛争の自主的解決
個別労働関係紛争が生じたときは、紛争の当事者は、自主的な解決を図るように努めなければならない。

(3)都道府県労働局長による情報提供、相談等
イ.都道府県労働局長は、個別労働関係紛争の未然防止及び自主的な解決の促進のため、労働者又は事業主に対し、情報の提供、相談その他の援助を行う。
ロ.全国250ヶ所に総合労働相談コーナーを設置する。

(4)都道府県労働局長による助言及び指導
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争について、当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

(5)紛争調整委員会によるあっせん
イ.紛争調整委員会
●都道府県労働局に紛争調整委員会(以下「委員会」という)を置く。
●委員会は、3~12人の学識経験者で組織する。
●委員会の庶務は、都道府県労働局総務部企画室が処理する。

ロ.あっせんの開始
●あっせんの申請は、紛争当事者の双方又は一方が、申請書を紛争当事者である労働者に係る事業場の所在地を管轄する都道府県労働局の長に提出することにより行う。
●都道府県労働局長は、(1)事件がその性質上あっせんをするのに適当でないと認めるとき、
(2)紛争当事者が不当な目的でみだりにあっせんの申請をしたと認めるときを除き、委員会にあっせんを委任する。
●委員会の会長は、都道府県労働局長からあっせんの委任の通知を受けたときは、当該事件を担当する3人のあっせん委員を指名する。
●委員会の会長は、紛争当事者に対し、あっせんを開始する旨及びあっせん委員の氏名を通知する。

ハ.あっせん手続
●あっせん委員は、必要があると認めるときは、あっせんの手続の一部を特定のあっせん委員に行わせることができる。
●あっせん委員は、必要があると認めるときは、当該事件の事実の調査を都道府県労働局総務部の職員に行わせることができる。

ニ.あっせん期日
●あっせん委員は、あっせん期日を定め、紛争当事者に対して通知する。
●あっせん期日には、紛争当事者は、あっせん委員の許可を得て、(1)補佐人を伴って出席すること、(2)意見の陳述等を代理人に代理させることができる。

ホ.あっせん案
●あっせん委員は、紛争当事者の双方からあっせん案の提示を求められた場合には、あっせん案を作成し、これを紛争当事者の双方に提示する。

ヘ.関係労使からの意見聴取
●あっせん委員は、紛争当事者からの申立てに基づき、次の場合には、関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から意見を聴くものとする。
(1)紛争当事者の双方から申立てがあったとき。
(2)紛争当事者の一方から申立てがあった場合で、紛争当事者に係る企業又は当該企業に係る業界若しくは地域の最近の雇用の実態等について、紛争当事者の他に関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から意見を聴く必要があると認めるとき。

ト.あっせんの打切
●あっせん委員は、次のいずれかに該当するときは、あっせんを打ち切ることができる。
(1)あっせん開始の通知を受けた被申請人が、あっせんの手続に参加する意思がない旨を表明したとき。
(2)あっせん委員から提示されたあっせん案について、紛争当事者の一方又は双方が受諾しないとき。
(3)紛争当事者の一方又は双方があっせんの打切りを申し出たとき。
(4)関係労使からの意見聴取その他あっせんの手続の進行に関して紛争当事者間で意見が一致しないため、あっせんの手続の進行に支障があると認めるとき。
(5)以上のほか、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるとき。

チ.時効の中断
●あっせんが打ち切られた場合において、あっせんの申請をした者が打切りの通知を受けた日から30日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、あっせんの申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。
(6)地方公共団体の施策等
イ.地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、労働者、事業主等に対する情報の提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努める。
ロ.国は、地方公共団体が実施する施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずる。
ハ.イの施策として、地方自治法第180条の2の規定に基づき都道府県知事の委任を受けて地方労働委員会が行う場合には、中央労働委員会が、当該地方労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

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